ブリーフセラピーとは
ブリーフセラピーはアメリカの精神科医・催眠療法家のミルトン・エリクソンの理論や技法にヒントを得て発展を遂げた有名なMRIアプローチやソリューションフォーカストアプローチなどの心理療法の総称です。
ブリーフセラピー（短期療法）は効果のあったエビデンスを提示したことから始まり、ジョン・H・ウィークランドらの報告で平均カウンセリング回数7回以内で実に72％の被験者が目標をクリア或いは改善を示した心理療法です。
ここでの柱としてはリフレーミング（ものの見方を変える）つまり、問題に意識しすぎていたことに対して、自分や他人の「例外的」な事例を探すことにあります。
具体的事例を検討しましょう。
ある引きこもりの中年男性がいました。社会から離れ、自室にこもりネットゲームばかりやって過ごしています。
このような状況で親はどのような関わりをするのでしょうか？
息子を心配している親は「外に出なさい」「仕事を探しなさい」「結婚して早く孫の顔を見せて」と口うるさく言ってしまうかもしれません。それも心配や期待の表れ。
でも、言われた本人は余計にプレッシャーやストレスを感じ、余計に殻に閉じこもるため、次第に親との心の距離を取ってしまうでしょう。
では、あなたならどうしたら良いと思われますか？
なかなか難しい問題ですよね。私も心理学を学んでいなかったら男性の両親と同じことをしていたと思います。
と言いますか、どちらかといえば男性側でした。
難しく思う問題や課題には「逆説的アプローチ」で「例外的」な事例を探すことが必要かもしれません。
それではカウンセラーがお母さんにコッソリ教えた技法を取り入れて考えていきましょう。
親⇒再来週お父さんとお母さんは北海道の実家に1週間帰るから、久しぶりにあなたも一緒にどう？
息子⇒そんなとこいかないし……..。一人で家に残るよ。（あ～一人でせいせいする）
親⇒じゃあ分かった。食事や買い物、洗濯は自分でやりなさいよ～。
あと〇月○日AMに宅配便が届くから受け取ってね。よろしくね♡
息子⇒宅配便て何？
親⇒明太子よ。あなた好きでしょ。
息子⇒あぁ。分かった。
男性は引きこもる前は、料理が好きでよく家族に振舞っていました。
息子⇒まったく、面倒くせーなぁ。人に会うのも嫌だけど宅配便生ものだからしょうがねぇか。
その当日、両親が出かけ宅配便が届きます。
息子⇒ピンポ～ン。あ～来た来た。いつもはパンツ一丁だけどズボンを履くか…。ゴソゴソ。
宅配業者から荷物を受けとり、早速台所で蓋を開けます。
わぁ～うまそうだ～！！！明太子パスタにして食べるか！！
息子⇒でも、肝心のパスタがないじゃん。しかも冷蔵庫も空っぽ。
まったく母ちゃんしょうがねぇなぁ。スーパーへ買い出しに行くか…..。
外に出るからひげも剃るか。寝ぐせも整えてっと。
男性は買い物へ出かけます。
息子⇒街へ出たのは何年振りだろう。
風がこんなに気持ちいいなんて…..。気分が良いからちょっとお茶でもしてから帰ろっか（微笑）
男性はその後、少しずつ気持ちの変化が起きて来て、就労支援に最終的には週5回ずつ通い、ついに再就職を決めたのです。
仕事の内容は就労支援員で、社会で傷つき家に籠っている方々を支援する仕事です。数年経った今でも彼は熱意とやりがいをもって頑張っています。
このようにパラドックス（逆説的アプローチ）をすることで男性は変わりましたね。
これがブリーフセラピーの実践です。おかあさん、うまくやりましたね♪
逆説的アプローチ。つまり「これしかないと」思っていたとしても、別の角度からものごとを検証・実行することで、「きっかけ」が生まれ、そこをどんどん伸ばしていくことが非常に大切です。何事にも「無理だ」とすぐに判断せず、一呼吸おいて別の角度から考えてみると良いかもしれませんね。
みらい相談室では聴くだけのカウンセラーではなく、より実践的な心理療法や心理スキルを効果的に活かした面接を行い、お客様の心境を尊重しながら活動を行っています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
